疲れても運動後気持ちがよくなるのはBDNFが分泌されるから

「ランナーズハイ」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
マラソンのような長距離を走ることは苦しそうに感じます。
ですが、一定以上の距離を走ると急に息苦しさが無くなり、脚も軽くなり幸福な気持ちになれ、いつまででも走り続けられるように感じます。
これがランナーズハイですが、経験したことがない人にとっては、本当にそんなことがあるのかと疑いたくなります。
このような現象は、マラソンだけではなく様々な運動で起こり得る現象です。

運動をすることで脳はストレスを感じますが、このストレスに対抗するために「エンドルフィン」と「BDNF」という物質が分泌されます。
エンドルフィンは神経伝達物質といい、強い高揚感を促すものです。
気持ちが高まることで、いつまででも走れるような気持ちになれるのです。
軽い運動ではそこまで分泌量は多くありませんが、激しい運動を行うとエンドルフィンは沢山分泌されることはよく知られています。

BDNFは脳の活動をサポートする物質

BDNFは脳由来神経栄養因子と呼ばれるもので、たんぱく質の一種になります。
運動することで感じるストレスから、脳を守るために分泌されます。

運動をしていない時でも、BDNFは脳にある物質です。
記憶をつかさどる海馬に特に多く含まれており、神経細胞の発生や成長を促しているほか、神経細胞を維持したり再生したりすることも促してくれる物質です。

記憶をつかさどる海馬の働きを活発化させる物質なので脳の栄養とも呼ばれ、脳の活動をサポートする働きを持っています。
運動することで何となく頭がすっきりとして物事がクリアになるような気持ちになるのは、運動によりこのBDNFが沢山分泌されるからです。

運動は20分だけでもいい

ランナーズハイを感じるのは、マラソンの場合は全行程の半分、約20kmを超えたあたりというランナーは多くいます。
ですが、20kmも走ることはなかなか難しいと感じる人は多いでしょう。
マラソンを走り切ることができるような運動を普段からこなしている人なら、この程度の運動をしなければ苦しさや辛さが感じられないからかもしれません。

普段あまり運動習慣がない人なら、20分も運動をすればかなりつらいと感じます。
この辛いという気分を超えたときに、ランナーズハイに似た状況が起こります。
運動をはじめて20分間ほど集中して取り組むことで、エンドルフィンやBDNFが分泌されはじめ、驚くほどの幸福感が得られるようになります。

幸福感が得られるようになれば、またこの幸福を味わうために運動をしようと思えるようになります。
そうすれば、運動することが習慣化して行く可能性があります。
運動習慣は一時的な幸福を得る手段になるだけではなく、健康や成長に役立ち、幸福を得ることにつながっていきます。